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消えない味【SS・トラパス】
 
 
【2012/03/24 20:45】
 
 
 ……くそっ!!

 窓の外からチラッと見えたあいつの膨れっ面に、ガッと地面を蹴る。
それで自分の足を止められず、おれはそのまま家から離れた。



 事は、クレイが、エベリンまで届けもんしてこいっておつかいをオーシに頼まれたことにはじまる。
 貧乏なせいでクエストに出かけることもできねぇおれたちは、相変わらずのバイト三昧。
今回も見かねたオーシが、別件で手が離せないってことでおれたちに仕事をくれたってわけだ。
 ま、あいつのこった。
子どもの小遣い程度のもんだけどな。
それでもみんなでエベリンへ行けるってんで、パステルもチビたちも大喜びだ。
 けどな、あいつの言葉を聞いたとたん、おれの気分は一瞬にして最悪んなった。
「エベリンに行くのって、ジュン・ケイさんに行商人のこと頼みに行ったとき以来だよね?」
 ジュン・ケイだって…?
 おれの眉間に皺が寄ったのみ気づきもしねぇで、クレイが言いやがる。
「あぁ、そうだな。色々助けてもらったし、お礼言いにいかないとな」
「いいにいかあいとな~」
「そうね、ルーミィ」
 クレイの口真似するチビの手を取りながらパステルが頷いた。
 って待て!! パステルまで行く気満々じゃねぇか!!
 そりゃ世話んなった。
けど、わざわざ行く必要はねぇだろ!
ジュン・ケイが女だってのわかってっけどな…あいつは、パステルの……。
 ……なんて口にできるはずもねぇから、面倒くせぇって顔をして肩を竦める。
「けっ! あいつらだって忙しいんだろ? 顔出したら迷惑じゃねぇのか?」
「ぐふふふ…そうですねぇ~。もしかしたらギアたちも戻ってきてるかもしれませんしねぇ?」
「あ、そうか。警備隊にギアも入ってるんだったよな」
 余計なことを、とキットンを睨みつけながらパステルの様子を窺えば、ほんのちょっとだけど頬を紅潮させてやがるし!!
 あの男のことは思い出させんじゃねぇよ!!
「おめぇら、遊びに行くんじゃねぇんだぞ? わかってんのか」
 もっともらしいこと言って、これ以上イライラを増やさねぇためになんとか警備隊に近づかせねぇようにしようとすんだが…。
「わかってるよ。でも、お礼くらい言いに行く暇はあるんじゃないのか?」
「う、うん。だってほんとにお世話になったもん。行きたいな」

 “会いに”行きたい、だとぉ?

 んなこと一言も言ってねぇのに、過敏になっちまったおれにはもうそうとしか思えず。
「…んなに行きてぇならおめぇらだけで行って来い。オーシのおつかいだって全員行く必要ねぇだろ? おれはバイトして待ってるわ。わざわざ大所帯で行って金使うより建設的じゃね?」
 なーんてらしくねぇこと口にして、ひらひらと手を振って全員に背を向けた。
「えぇ…? で、でもトラップ! みんなで行こうよ!!」
 そうだぞ、何て言ってクレイまで引き止める声も聞こえたけど、止まってなんかいられねぇ。
聞こえない振りして早足に家を出た。



 …で、冒頭に繋がるわけだ。

 オーシの仕事ってのは至って簡単。
一抱えほどの荷物を、エベリンのなんとかっておっさんの家に届けろってもんだ。
 道にさえ迷わなきゃパステルひとりだって何とでもなることなんだぜ?
それでもあいつが“みんなで”ってのにこだわる理由は…おれにある。

 指定の日ってのが…丁度おれの誕生日なんだよ。

 はっきり言われたわけじゃねぇけど、何だかんだイベントごとで盛り上がりたがるパステルのこった。
きっとエベリンにいるマリーナにも連絡とって、何かしようとでも思ってたんだろ。

 おれがいなきゃ意味ねぇってわかってるよ。

 わかってても、あいつが少しでも意識してたやつに会いに行きたいなんて言われたら、ムカつかずにはいられねぇんだよ!!


 それもこれも……パステルが好きだからいけねぇんだ。


 出るとこ引っ込んで、引っ込むとこ出てるガキんちょだ。
マッパーのくせして方向音痴で、毎回探すこっちの身にもなってみろっていうくらい迷惑かけやがる。
 ちーっと気合が足りねぇとこはあるけど、故郷出て冒険者目指すだけの根性はある。
 亡くなった両親に相当可愛がられてたんだろ。
ホントは結構寂しがりのくせして、そういうとこは隠そうとしやがって……っ!

 時々無理して笑ってんのに気づいちまったときには、もう遅かった。


 …怒らせたいわけじゃない。
そりゃ、怒った顔可愛い…なんて思ったりもするけどよ。
 あいつには、心から笑ってて欲しいんだ。
 寂しい思いなんかさせたくねぇ。
毎日を面白おかしく、楽しんで生きて欲しい。

 なのに…心の狭いおれは、いっつも逆のことをしちまうんだ。


 ガキなのはおれの方だってんだ、なぁ?


 町外れの木に登って寝の体勢に入ったおれは、帽子の下で自嘲する。


 さぁて…この身体中に広がった苦々しさをどうすっか。


 夜になっても、明日になっても。
消えそうにねぇこの味に、おれは顔を顰めるしかなかった。




■投稿者:リューラ・F・カートン 『黒の書
■投稿日:3月24日
■コメント:
最初はパステルを泣かせてしまって…って予定だったのですが、セリフのやり取りが思い浮かばず、こんなことになりました。
インパクトはちょっと減ってしまいましたが、未熟な自分に対する苦さは出せたかな? なーんて思っております。
原作と時期が合わないのはご愛嬌ってことでよろしくお願いします~(爆)
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この記事に対するコメント
 
 

続きが気になります~~
トラップ抜きでエベリンに行ったりなんかしたら、パステルが迷子になったとき困るし(笑)
結局、一緒に行くのかな~
それとも、パステルがほとほと困り果てたときにサッと助けに現れるのかな~(^m^)
ギアやジュン・ケイに会った時のトラップの様子も想像してワクワクしちゃいましたv-411
【2012/03/30 01:33】 URL | みみこ #- [ 編集]

わーいv
>みみこさん
コメントありがとうございます!
続きは…全くもって考えてなかったんですが(笑)
トラップが折れるか、パステルが何かするか。
クレイがおせっかいする…かも? ですかね。
機会があれば…考えて、みよう、かな…。
【2012/04/01 12:49】 URL | リューラ・F・カートン #UA3QZO.. [ 編集]


ヤキモチして素直になれなくて、パステルを好きだからこそ味わってしまう苦味なのですよね。

消えるどころかどんどんと苦くなっていくほど好き、そんな感じがいたしました。
【2012/05/12 23:17】 URL | MOMO #oh4NkpYI [ 編集]

ありがとうございます!
>MOMOさん
コメントありがとうございます!
恋愛ってきっと、嬉しくて楽しいだけじゃないですよね。
好きだからこそ…の苦さもあるかな~なんて。
トラップは素直じゃないからこそ、それも強そうですよね(笑)
【2012/06/18 11:36】 URL | リューラ・F・カートン #UA3QZO.. [ 編集]

 
 
 
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