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水溜りの向こう側【SS】
 
 
【2012/08/31 21:03】
 
 
 雨上がりの日の 鏡の向こう

 覗き込んだ向こう側には
 同じようで 全く違う

 もうひとつの世界が 広がってる




 夏の雲がもたらした夕立が止んで、ようやく太陽が顔を見せ始めたころ。
わたしは、家の中で退屈そうにしていたルーミィとシロちゃんを連れて外に出たの。
 地面には雨が残した水溜りがそこここに残ってて、靴を濡らさないために歩くにはどうしても右や左にフラフラしちゃうんだけど……ルーミィたちはそんなことにはお構いなし。
わざわざ自分から水溜りへ向かうくらい、跳ねる水の感覚が楽しいみたいで。
「キャッ!」
 思いっきり飛び込んだ拍子にパシャリと飛んだ水が、わたしの足にかかった。
「んもう、ルーミィ! 水溜りに勢いよく入っちゃだめでしょ。いくら長靴でも…あぁぁ~…服の裾も…シロちゃんまでグチャグチャじゃない!」
 おろしたてだった薄桃色のワンピースの裾は跳ねた泥水でグショグショ。
あんなにふわふわだったシロちゃんの毛も、うっすら茶色っぽくなって。
水を吸ってペチャンコだから、見た目、ちょっと残念な感じなの。
 それでも全然気にせずに、わたしをニコニコと見上げてくるルーミィたちは…。
「だって、おもしろいんだお!!」
「わんデシ!」
元気よくそう言ってくるから、もう仕方がないかって思っちゃった。

 わたしにだって経験がある。
 何でかなんてもう覚えてないけど、小さいころは水溜りのある場所をわざわざ選んで歩いたもんだ。
ルーミィと同じように水を跳ね上げて、一緒に歩いてた両親を困らせたこともあったっけ。

 あ、そう言えば…。

 お母さんが言ってたことをふっと思い出して、少し離れた場所にある大きくて静かな水溜りに目をやる。
すると丁度いいことにとっても綺麗に広がってたんだよね。
逆さまに映る青い空が。
「ルーミィ、シロちゃん。あそこの水溜り見て!」
 指を差せば、素直にわたしに近寄ってそこを見る2人。

「…っ!!」
「わんデシ!!」

 声もなく固まったルーミィと響いてきたシロちゃんの声。
その様子にわたしは笑みを深める。
 よっぽど感動したんだろうな。
シロちゃんはその水溜りの方へ駆けて行って、水溜りの淵から映った空を眺めてる。
 ルーミィはというと、まだ驚きの方が強いみたいでブルーアイをめいっぱい大きく見開いたまま動かない。
わたしはその横にしゃがむと、さっき思い出したお母さんの言葉を贈る。
「ね、ルーミィ。知ってる? 水溜りの向こう側にはね、わたしたちが生きている世界と同じようで全く違う世界が広がってるのよ」
 わたしが聞いたのは学校に行くようになってからだったから、物語を読むみたいにワクワクしたんだけど…。
 まだまだ小さなルーミィに同じように言っても、十分理解はできないと思う。
でも、大人になってもまだ記憶に残ってるこの話をしてあげたいって思ったから、首を傾げるルーミィにわかりやすいようにちょっと例を出してあげる。
「ルーミィは食いしん坊さんだけど、向こうのルーミィはいたずらっ子さんかもよ?」
「いたうあっこ?」
 波の静まった足元の水溜りを覗き込ませ、うっすら映るルーミィを指差す。
「うん。こっちを驚かそうと思ってあっかんベーってするかも」
 わたしの言葉に合わせて舌を出すルーミィが映って、向こう側のルーミィも舌を出す。
そこをすかさず取り上げて「ほら、ベーってした!」って言ったら、不機嫌そうに口を尖らせる。
「ちあうもん! それ、ルーミィがしたんら」
「えー? そう?」
 …わたしは、おかしいなぁと首を傾げながら隙を探す。

 もちろん、ルーミィ自身がしたんだってのはわかってるんだよ?
でも、そこで「そうね」って言っちゃったらわたしが伝えたいワクワク感が味わえなくなるもの。
それじゃあ面白くないじゃない?

 わたしは、彼女の視線が水溜りにない今が好機と声を上げる。
「あ! ほら、今、笑ったよ?」
 驚いたルーミィは慌てて俯いて映る自分と見つめ合う。
それは鏡と同じで紛れもない彼女なんだけど…ね。
「うそだぁ!」
「嘘じゃない嘘じゃない。きっと、ルーミィにばれないように見えない魔法をかけたのよ」
「まほー?」
「鏡みたいに同じように見える魔法」
「そんなのしあないお!」
 知らなくて当たり前。
だってわたしが作った魔法だもん。
 なーんて思いながら、ルーミィに水溜りの向こうの世界を信じさせようと頑張ったんだけど…ね。
演技慣れなんかこれっぽっちもしてないわたしの言葉じゃ、やっぱり信じてもらえないみたい。
こういうときトラップがいたらいいのに…なんて思ったそのとき。

「…あっ!!」

 頭の上の空に大きな大きな虹がかかったの。

 それはもちろん、遠く見える水溜りにもちゃーんと映ってて。
わたしたちの声に顔を上げたシロちゃんが、丁度、向こう側の虹の橋の上に立ってるように見えたの。


 あまりの偶然に今度は2人で言葉を失って。


「…ルーミィも、あっちのルーミィみたいなまほうつかいになりたいお!」


 顔中を笑顔に染めて興奮するルーミィが見られて、なんかすっごいうれしかった。




 昔…って言うほど昔じゃないけど。
今よりもっともっと泣き虫だったわたしは、ちょっと何かに失敗したり友だちとケンカしたりしたときに、いっつもベソかいて泣いてたの。
 そんな、わたしにお母さんが教えてくれたこと。

『水溜りの向こう側にはね、わたしたちが生きている世界と同じようで全く違う世界が広がってるのよ』

 失敗を恐れずに頑張ろうって思えるパステル。
ケンカしても、すぐに謝って仲直りできるパステル。
嫌なことは嫌って、ちゃんと自分の言葉で言えるパステル。

 いつも元気に友だちと遊ぶパステル。
お家のお手伝いを進んで頑張るパステル。
周りの人も笑顔にできちゃうような素敵な笑顔の持ち主のパステル。

 水溜りの数だけ、違う自分がそこにいる。

 なりたい自分がいるのなら、その子だって紛れもなく“わたし”なんだもの。
頑張れば、いつかきっとなれるはず。

 だって。
今、わたしがいるところだって、水溜りの向こう側…かもしれないでしょ?

 お母さんの言葉は、わたしに素敵な魔法をかけてくれてね。
頑張ろう、変わってみようって思えるようになったんだ。

 そのおかげで、やっとここまで強くなれたんだと思う。



 
 …お母さんと同じようには伝えられなかったけど。
ルーミィの心に、水溜りの向こうの世界が少しでも残ってたら…嬉しいな!




 雨上がりの日の 鏡の向こう

 覗き込んだ向こう側には
 同じようで 全く違う

 もうひとつの世界が 広がってる


 そこもここも どこもあそこも
 水溜りの 向こう側

 どんなあなたも
 あなただから

 きっと
 なりたい自分に なれるはず


 諦めないで 頑張って

 あなたがそこから 見てるから




■投稿者:リューラ・F・カートン 『黒の書
■投稿日:8月31日
■コメント:
「水溜り」と聞いてから、水溜りの向こう側には同じようで別の世界が広がってる…というネタが浮かんでおりました。
本当は冒険モノにできたらよかったのかもしれませんが余裕もなく…。
ルーミィたちにご登場願った結果、こんな感じになりました。
パステル幼少時はかなり捏造されておりますが…。
みなさんにも何か感じていただけたら嬉しいですv
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