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○×記念日【SS・トラパス】
 
 
【2011/02/17 17:27】
 
 
トントンと階段を降りてくる足音で、私たちは我に返った。

「おめら、まだやってたのかよ。よくもまあ、そんなに喋ることがあるな。」

眠たそうな半眼でリビングにやってきたのはトラップだ。
寝起きなんだろう。ゆったりした丈の長い上下をだらっと着て、肩より長い、赤い髪を垂らしてる。
寝癖がついて、後ろ頭の辺がぴょこっと触覚みたいにハネている。
ボリボリと背中を掻く仕草はひじょーにだらしなかった。

「あ、ごめん。うるさかった?」

ふと周りを見回してみると、すっかり真夜中の気配。
雪こそ降っていないけれど、ちょっとした隙間から吹き込む風が冬の匂いをつれてくる。

髪を下ろしていつもとは別人みたいに見えるリタも、ちょっと驚いたような顔をしていた。
時間を忘れるというのは、こういう事を言うんだろうね。

久しぶりにリタが泊まりにきていて、この間のクエストのことだとか、途中で立ち寄った街の素敵なお店のこととか、話は尽きず。

猪鹿亭に行けばいつでも会えるんだけど、やっぱり彼女は仕事中だからね。
こうして、自由に話せる時間は貴重なんだ。
おかげで調子に乗り過ぎちゃったみたい。

「べつにぃー。喉渇いちまってよ。」

トラップが欠伸を噛み殺しながらごにょごにょ言う。
(実際は、べふにぃー。のおかわいひまってお、という感じだった。)

彼はだらけ切った様子でこちらにやってくると、二人がけソファに体を投げ出した。
左半分に私が座っているから、当然トラップは空いてる方の右側。
ニョキニョキと急に背が伸びた、大きな彼の体を支えて、スプリングが音を立てて沈み込む。 反動で私の体が一瞬だけ浮いた。

「また飲み過ぎたんじゃないの?ホットミルク飲む?」

私が立ち上がると、おーとも、んーともつかない(たぶん)肯定の返事をした。

どうせだから、と三人分のホットミルクを入れてソファに戻る。
ちょっとだけシナモンを利かせたホットミルク。
私とリタの分には、さらに特製のはちみつをたらしてある。
トラップはそんなに甘いの好きじゃないからね。

「おめえ、良いのかよ。明日早いんじゃねえの?」

「ん?明日は昼からにしてもらったから良いのよ。だって、今日は私とパステルの親友記念日なんだから。」

リタはにこにこしながら、向かいの一人掛けソファでホットミルクを飲んでいる。
そう、今日リタが泊まりにくることなったそもそもの理由は、私とリタの出会い記念日だからなんだ。

初クエストだ!って張り切って挑戦したクエストで
(ぢつは骨折り損のくたびれ儲けクエストなんていうのに引っかかっていたんだけど)
泥だらけになったボロボロの私たちがこのシルバーリーブにやってきた日。

積もる話に花を咲かせていたら、そりゃ時間も忘れちゃうよね。

「けっ。…ったく、女ってのはどうしてそうくだらないことばっか覚えてやがんだかな。」

トラップは心底バカにした顔でマグをあおった。

「何よ、乙女心の分からない人ね。」

「ホント、ほんと!トラップなんかについて回る親衛隊の子たちの気が知れないわ!」

私とリタに口々に非難されたトラップはものすごく不機嫌そうに、ふんっと鼻をならす。
勢いで言い募ろうとする私をリタが止めた。

「ほら、でも、あんたたちの結成記念だってもうすぐでしょ?」

そうなんだよね。私たちパーティの結成記念って、本当を言うと明日、もう今日?なんだけど、ノルが加わったのは寒い冬が明けてからだったでしょ。
せっかくだから、お祝いをするのはノルと出会った日にしようってみんなで決めたんだ。
何だかんだ言って、一番楽しそうにはしゃいでるのは、いつもトラップなんだから。

「そうそう、猪鹿亭でお祝いさせてもらうんだから。」

「へいへい、分かってますよ。ったく、女が集まるとロクなことになんねぇな。」

トラップは不機嫌そうにぶちぶち呟きながら、ホットミルクの残りを空けると、
さっさとリビングを出て行ってしまった。

その背中には、はっきりくっきり「やってらんねー」と書いてあった。

「あらら、ご機嫌損ねちゃったかしら。」

その言葉とは裏腹に、リタは何だか楽しそうだ。
ニコニコというか、何か企んでそーって笑顔。

「大丈夫よ。明日にはきっと覚えてないって。」

気安く請け負った私に、彼女は何とも形容しがたい、微妙な苦笑を浮かべた。

「…苦労するわね…こりゃ。」

「えー?まあ、いつものことだから。」

小さく呟かれた言葉に笑って応じると、今度は肩をすくめてみせた。
何なんだろう?変なリタ。




---------------------------------------

「ねえねえ、トラップ。赤いのと黄色いのどっちが良いと思う?」
隣に立つトラップに聞いても、ああ、とか、おう、とか要領を得ない返事ばかり。

「もうっ、トラップってばっ。」

ポカっとその肩を叩くと、ようやく嫌々ながらこっちを見てくれた。

「リタにお土産なんだけど、どっちが良いと思う?」

エベリンなんて珍しくもなんともねぇじゃんか、とぶちぶち言いつつ黄色い方を指差す。
そりゃあ、そんなに遠く離れた街じゃないけど、シルバーリーブからほとんど出ることのないリタだから、せめてお土産くらいは買っていってあげたいじゃない。


ようやく温かい日差しが顔を出すようになった初春のころ。
冬の間バイトに精を出していた私たちは、次の冒険に備えて買い出しなんかをまとめて済ます為に、みんなでヒポちゃんに乗ってエベリンまでやって来ていた。
食料品の買い出し担当だった私たちは、待ち合わせの時間よりもずいぶん早く済んでしまったんだよね。
そうそう、私たちのパーティ結成記念用に、ちょっと奮発して食材を買い込んだんだ。
当日はリタたちと一緒に、猪鹿亭の厨房を借りて、私も腕をふるっちゃうもんね。

で、買い出しは終わったんだけど、トラップは暇にさせておくと、じゃあちょっとカジノにでも…とか言い出しそうだから、こうして私の買い物に半ば無理やりつき合わせてるっていうわけ。

ずらっと並ぶ露店の一つで見つけた、寄り合わせた糸を編んだアンクレット。
グラデーションに染められた糸が綺麗なの。
リタって仕事柄、指輪とかブレスレットとかって出来ないじゃない?
せめて足元くらいはオシャレさせてあげたいなって。

本当はその横のやつが可愛いなって思ったんだけど、ちょっとお財布から悲鳴が…。
同じようなアンクレットに小さな宝石がついてるやつでね。
光の当たる角度によって色が変わって、キラキラ輝くのがすっごい綺麗。
で、お値段もまあ……0が一個違う。

仕方ないよね。それに宝石がついてなくても十分可愛いし。
チェックの包装紙で綺麗にラッピングされたアンクレットをほくほくとリュックにしまう。
横目でそれを見ているトラップは相変わらず呆れた顔をしていた。



「よし、買い忘れはないな?」

ヒポちゃんに乗り込む私たちに、ママと化したクレイのチェックが入る。
はーい、と元気よく答えた私たちを見回すと(たぶん全員いるか確認したんだろう)、運転席のトラップにGOサインを出した。

久しぶりに外を走れるヒポちゃんはご機嫌で、変なきまぐれも起こさず、快調にとばしてくれた。
髪をなぶる風はまだ少し冷たかったけど、村に篭りきりでバイト三昧だった冬の終わりを思うと、だんだんわくわくしてくる。
ルーミィも久しぶりの遠出が嬉しいらしく、きゃっきゃっ言ってはしゃいでる。
まあ、ものの数分で夢の中に誘われていっちゃったんだけどね。

道中モンスターに襲われることもなく、シルバーリーブの我が家まであっという間だった。


「ふあー…今日の夕飯当番誰だっけー?」

「ふはー。えーと、確かパステルじゃなかったですか?」

なんて、欠伸まじりに呑気極まりない会話をしながらヒポちゃんを降りてくみんな。
あ、でも、もちろんクレイのことだから買い込んできた色々の荷物は運んでってくれたよ?
ルーミィは結局熟睡したままで、ノルが抱っこしてってくれた。

夕陽が橙色に染めるシルバーリーブは一種幻想的で、思わず見とれてしまうくらい綺麗だった。

今日の夕飯は何にしようかなーなんて考えてたら、ヒポちゃんを小屋まで連れていこうとしていたトラップが、ひょいっと片手で私に手招きした。
一つに束ねた彼の髪は、橙の光の中でいっそう鮮やかに輝いている。

「トラップ?どうかした??」

あわてて後を追いかける。
横に並んでトラップの方を覗き込むと、これ、と彼が右手に提げていた紙袋からヒポちゃんのおやつを取り出した。

「あ、そうだね。久しぶりに頑張ってくれたもんね。」

ヒポちゃんをつないで、トラップが干し草のベットを整えている間、私はヒポちゃんにスティック状のおやつを食べさせてあげた。
ヒポちゃんは、パタパタと激しく尻尾を振りながら、ものすごくおいしそうにたいらげていく。
んー、可愛いーっ。


「おつかれさん。」

玄関に向かおうとしたら、トラップにしてはめずらしいことを言いながら、ポンっと頭をたたかれた。

まさか何か企んでる?と言おうとしたんだけど、頭のてっぺんから何かが落ちてきて、そっちに気を取られてしまった。
あわてて両手で受け止める。
どこかで見たようなチェックの包装紙。

「何、これ…?」

ポカンとして見上げると、トラップはきまり悪そうに頬を掻いている。

「あーと…その…192日記念。」

「は?」

言われたことの意味が全然分からなくて、頭上をはてなマークが飛び交う。

「だあら、192日記念。出会って192日目の記念。」

トラップは片手で顔の下半分を覆いながら、やけくそのように繰り返した。
意味不明ながら、ぼんやりしたまま考える。
私とルーミィがトラップとクレイの二人に会ったのは夏の終わり頃でしょ。
で、今が初春。
ひぃふぅみぃ…。
確かに190日くらいかな……?

「…な、なんで192日…?」

さらに混乱してきた私を、トラップは怖い顔で睨みつける。とはいえ、顔が赤いから、照れてるんだってわかったけど。

「…女ってのは、なんたら記念っつーのが好きなんだろ。」

そっぽを向いた顔は夕陽のせいも相俟ってもう真っ赤っかだ。
何か誤解がある気がするけど…。
そりゃ、何かの記念にお祝いするのは好きだよ?
女の子ってたいていそんなもんだと思うし、そこは間違ってないけどさ。

でも、その反応に困る記念日は何なんだ??

「…えーと。それで、その192日記念に、これをくれるっていうの?」

「そうだって言ってんだろ。」

「開けて良い?」

「ああ、勝手に開けてくれ。」

トラップってば、もうほとんど怒ってる。
もう、記念日とか言うならちょっとくらい笑って見せればいいのに。

「あーっ!」

これ!!

私が目をひん剥いて、さらに口をパクパクさせてると、おめえブサイクな出目金みたいになってんぞ、とかってトラップが意地悪を言う。

だって、これ。

私がリタにお土産に買ったのと色違いの、赤いアンクレット。
キラキラと輝く小さな宝石がついている。
それは、沈みかけた夕陽の光を浴びて眩しいくらいに輝いていた。

「物欲しそうに見てっからよ。」

ふんっと鼻で笑うトラップの顔はまだちょっと赤い。

「本当にもらって良いの?だってこれ、かなり高かったじゃない!」

びっくりして思わず詰め寄っちゃった私のおでこを、骨ばった長い指がピンっとはじく。

「った!」

「あのなあ、もらったもんの値段の話すんじゃねえって。色気ねえな。」

トラップは呆れた顔で苦笑する。
何だかちょっとドキっとする色っぽい仕草だった。
見慣れたトラップの顔なんだけど、見知らぬ男の人のような、私の知らない表情。
ちょっとドギマギしてしまう。
思わず首の辺りに視線を落として、その大きく出っ張った喉に今さら驚いた。

「あ、うん、ごめん。ありがとう。…でも、私何も用意してないよ?」

ごまかすように言葉を繋いで、はたとその事実に気づいた。
当たり前だけど、私はトラップに何も用意していない。192日記念なんて、妙な記念日の用意してるわけないんだけどさ。
これ、本当に高かったし…。

私が困っていると、トラップはサラサラの赤毛を乱暴にかき回した。
あまりに力が強かったせいか、髪はぐしゃぐしゃだし、くくった髪がほどけかけてる。
ほつれて頬にかかった髪を耳の後ろに掻きやりながら、笑ってこう言った。

「あー、じゃあ……今日の晩メシ、俺だけ特盛りな。」

それは、いつものいたずらっ子のような、活き活きした表情。
私のよく知ってるトラップで、なぜか心底ほっとした。


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「192日記念…」

後日、私の話を聞いた途端、リタは頭を抱えてしまった。

「バッカじゃないの、あいつ。どうせなら真ん中バースデーとかにすれば良いのに!」

隣にいる私のことなどそっちのけで、ぶつぶつとトラップをこきおろし始めてしまった。
いくらなんでもそこまで言われたらトラップが可哀想だよぉ。

「や、でも、ほら。何にしろ嬉しかったし…」

必死にフォローしようとしたら、呆れきった顔で、特大級のため息をつかれてしまった。

「だめだわ、こりゃ…。」

え、ちょっとリタってば、何よー?!


end




■投稿者:美月『Brightest Antares
■投稿日:2月16日
■作者コメント:
初投稿失礼します。
girlsから妄想していった結果、妙に情けないお話に仕上がってしまいました。
「気が知れないわ!」がよほどショックだったのだと思います。
お題的にセーフ?なのでしょうか?
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