みんなで共通のお題に挑戦して、二次創作しませんか? もちろん見るだけも大歓迎!!
 
 
 
 
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選択のとき【SS・トラパス】
 
 
【2010/08/25 16:11】
 
 
 おれは、窓辺に並べた7つの鉢にガラスの水差しで水をやってるパステルを見ていた。
 あいつがニコニコと見つめるそれらは、小さな小さな朝顔たち。
背丈は30センチほどで、普通のやつの4分の1サイズって感じだ。
 そいつを育て始めたのは…もう、ひと月くらい前になるか。
今じゃ緑色の葉とつるが覆い茂って、ところどころに蕾らしきものが出てきてた。
「ね、トラップ。もうちょっとで咲きそうだよ!」
「…だな」
 顔だけ振り向いて声をかけてきたパステルに近づくと、ワクワクした顔で自分の鉢の蕾を優しくつつく。
「何色の花が咲くかな? まだわかんないなぁ」
 あと数日もすれば咲かなくても判別できるようになるだろうが、この小さい蕾ではまだ何色かはわからなかった。
 こういうのを楽しみにしてるってーのは、やっぱり女だからこそなのか?
それとも、ただ単に朝顔が咲くのが待ち遠しいのか…。
 おれにはよくわかんなかったが、ご機嫌な笑顔を花にばっかり振り撒いてんのが気に入らなくて、ふぅと呆れたため息を吐いてみせる。
「そんなに色が気になんのか? おめぇ、一体何に願ったんだよ」
「ふふふっ! 秘密だよ~」
「おー…そうかそうか! パステルちゃんは秘密にしなきゃなんないようなこと願ったってこったな」
 ニコーっといい顔で笑いかけてきやがったパステルに満足しつつ、おれはにやりと笑ってそう言った。
すると、ふんと鼻を鳴らしたあいつは言いながらイーッと白い歯を見せて来る。
「別にいいでしょ~? トラップだって聞いたって教えてくれないくせにーっ!」
「ま、そりゃあたりめぇだな。願い事ってもんは他人に言っちゃ叶わねぇって言うじゃねぇか!」
「もぉぉ!! じゃあ聞かないでよっ」
 頬を膨らませてクルリとおれに背を向けたパステルは、手にした水差しをキッチンへ片付けに歩いて行く。
 おれは、その後姿が壁に隠れちまうまでじっと見続けていた。



 どうしておれたちが朝顔を育てることになったのか。
 事の発端は1ヵ月ほど前。

―― あなたの願いが叶うのか、占ってみませんか? ――

…ってなキャッチフレーズで売ってた種を、面白がったキットンが買って来やがった。
 キットンは“占い”部分よりも“ミニチュアな朝顔”ってとこが気に入ったらしいけどな。
 ま、嘘か誠かわかんねぇけどよ、買っちまったのならやってみなきゃもったいねぇだろ?
 丁度7粒あったかんな。
それぞれが1つずつ植えてみることにしたんだ。
 占い方は簡単だ。
 まずは種を持って願い事を頭の中で唱える。
んで、その種を土に埋めて花が咲くのを待つだけ。
 咲いた花の色が白だと“願う以上の結果が得られる”で、紅だと“叶う”。
紫なら“努力次第”で…群青だと“叶わない”、黒だと“悪い結果になる”…なんだとよ。
 さっきもパステルに聞いたが、他のやつらが何を願うかは知らねぇ。
チビのはきっと、クレイのかーちゃんのクッキーが食べてぇ、とかじゃねぇかと思うけどな。
あと、どんな願いでも不幸の代名詞のクレイは黒いやつが咲きそうだ。
まぁ…黒い朝顔なんて今まで見たことねぇから、ホントにそうなればある意味運がいいって証明になるかもしれねぇけどな。

 おれは…な。
こんなお遊びこれっぽっちも信じてねぇくせに、思わずバカな願いごとをしちまった。

『パステルと恋人になれますように』

 んなこと願ったって、意味がねぇことはわかってる。
 だってよ、あいつの鈍感さは…もう、超が何個もつくくれぇだろ?
おれが素直にハッキリ言えないのも問題あるんだろうが、それでもこっちの精一杯のアピールを額面通りに受け取りやがって!
全くこっちの気持ちに気づいてやしねぇ!!

 そのいつまでたっても変わらねぇ状況に、おれ自身が焦れてたのかもしんねぇ。
思わず、この馬鹿げた花に自分の運命を託してみたくなっちまったんだ。
 白や紅ならパステルに嘘偽りなく告白する。
それ以外なら…とりあえず、今のままでいる…ってな。

 けどよ、咲く直前になって後悔しはじめた。
 本当に白や紅だったら、おれはあいつに「好きだ」って言うのか?
それ以外の色だったら…本当に今のままでいるのか?
 自分だけじゃどうにも踏み切れないからこそ神頼みしてみたってのに…それで己の行動を決めちまっていいもんなのか?

 悩みに悩んでいるうちに、とうとう花が咲いちまった。



 シロはさすがホワイトドラゴンってとこか。
あいつの毛そっくりの真っ白い小さな花が咲きやがった。
 ルーミィは紅色。
こいつには、いい色だったんじゃねぇか?
もし群青や黒が咲いてたら、ギャーギャーうるさく泣いてたかもしんねぇしな。
 あー…けどよ、ノルが同じ色でな。
それを知ったチビがおそろいおそろい連呼するもんだから、結局うるさかったんだけどな。
 パステルとキットンは紫。
 キットンは結果より自分らしい色ってことに笑ってやがった。
 パステルは…ちょっと残念そうな顔をしたが、努力次第っていう結果にこんなもんかと納得してる風だ。
 んで、予想通り…クレイの花は黒。
ま、黒といっても暗い紫色って感じなんだけどな。
 もう、これにゃあみんなで笑ったぜ!!
その様子見たら、きっと全員が黒だって予想してたなって確信できた。
 おれのはというと……。
「とりゃーの、あおいお!」
「きれいな色デシ」
チビたちが言うように、群青色の花をつけた。
 決してショックを受けてるなんてことはなかったが、自分の願いに対する答えを目の当たりにして何も反応出来ずにいたら、ギャハギャハ隣で笑ってたキットンが急に静かになって言ってくんだ。
「おや、願いは叶わない…ですか。残念でしたねぇ、トラップ」
 その面白そうな言い方に、こいつ…おれが願ったことがわかってんじゃねぇか? と突っ込みたくなったが、下手に反応しても喜ばせるだけんなるしな。
だから、ヘッと笑って肩をすくめた。
「結果を信じてねぇおめぇに言われたくはねぇな」
「え? トラップは信じてるの?」
「あん?」
「ずっと信じてないと思ってたけど…」
 どこをどう勘違いしたのかわかんねぇが、パステルのやつはおれがキットンに言った言葉からおれがこの占いの結果を信じてるって思ったらしい。
おれとしちゃ、結果を信じてるやつに言われんならわかるが、信じてないやつに残念だなんて言って欲しくねぇ…ってだけだったんだけどな。
 勘違いさせたまんまにしとくのも嫌なんで、朝顔に背を向けながら盛大に息を吐いてみせた。
「信じてねぇよ。こんなん遊びだろ? 結局は自分がどうにかしなきゃ願いってもんは叶わねぇもんだろうが」
 …言って、気がついた。


 そうだ。
悪い結果だったからって、それで動かなきゃ永遠にこのまんまだ。
たとえいい結果だったとしても、結局は自分で行動しなきゃ何も変わんねぇしな。
 そりゃ中には向うからやってくるってこともあるだろうが、それを待ってちゃそれこそ神頼みってもんだろ?

 占い結果を信じるも信じないも個人の自由。
進むべきか進まざるべきか……迷うならば、そういうもんに頼ってみるのもありなんだろう。
 けど、大事なのはその後。
自分で自分の行く先をどう選択するかだ。


 そこまで考えて、パッと面白いことを思いついた。
 間のいいことに全員の目がおれを見てたしな。
おれは、パチンと指を鳴らすと、
「丁度いい機会だ。この占いがインチキだってことをおれが証明してやろうじゃねぇか!」
と言ってニッと笑ってやった。
 それに冷静に口を挟むのはやっぱキットンだった。
「面白そうではありますが、何を願ったのか知っているのはトラップだけじゃないですか。それでは証明にはなりませんよ」
「そうだな。何願ったか教えろよ、トラップ」
「とりゃー、なにおねがいしたんらぁ?」
「僕も知りたいデシ!」
「うんうん、わたしも!」
「おれも聞きたい」
 かぁ―――っ!
人の秘密ってもんはそんなにも気になるもんかねー?
 自分だって人のことは言えねぇのはわかってたが、思わずそう考えるほど興味津津で見つめられた。
まぁ、注目されて気分は悪くなかったが、答えてやる気はサラサラねぇわけで。
「だーれが教えるかってんだ! おれが楽しけりゃそれでいいんだよ!」
 舌を出して告げたおれは、逃げるように朝から蒸し暑い外へと出て行った。
 非難の声が後ろから追っかけてきてたような気もするが、んなのは知ったこっちゃねぇ。
 おれの頭の中は、自分の選んだ未来がどうなるかでいっぱいで。
身体中に膨れ上がった不安と興奮を発散するために、強く強く握りしめた拳を照りつける太陽に向かって振り上げた。



     fin




■投稿者:リューラ・F・カートン 『黒の書
■投稿日:8月25日
■作者コメント:
2回目投稿失礼します。
縛りSSったー」というもので、この企画創作にできそうなお題が出たので、挑戦してみました♪
お題自体はこちらでした。

> ryu__raは「水差し」「朝顔」「選択」に関わる、「縛りなし」のSSを6ツイート以内で書きなさい。

6ツイート=840文字というのは全く守れておりません~(汗)
でもでも、「朝顔」は「はな」なので…企画お題はクリアしてますよね?

トラップ視点が久しぶりなのですごく偽物っぽくなってそうなのですが、楽しんで書かせていただきました!
この後どうなるかは、みなさんでご想像くださいませ~☆
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